入退室管理でセキュリティ強化・業務効率化を実現!最適なシステムの選び方とは?
自社のセキュリティシステムに不安を持っている人も多いでしょう。事実、会社へ不正侵入して、個人情報などを盗むといった事件のニュースを聞く機会もあります。
そこで本記事では、外部からの不正侵入を防ぐのに役立つ入退室管理システムについて解説します。入退室管理システムを導入するメリットに加えて、導入にかかる費用なども解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 入退室管理とは?
入退室管理とは、特定のフロアや部屋、または建物全体への入退室を管理することを指します。入退室の許可だけでなく、どの人物がいつ入室したか記録を残す役割も持っています。
多くの方にとって身近な例としては、駅の改札です。改札では、交通系ICカードによって駅構内への入退場記録を管理しており、利用者の滞在時間なども記録に残される仕組みになっています。
こうしたセキュリティを徹底することで、外部者による不正侵入・不正利用をはじめ、関係者による業務上不要な特定区間への立ち入りや不正行為を防止できるでしょう。
2. 入退室管理システムとは?
従来は鍵や手書きでの記録など、アナログで行われていた入退室管理ですが、現在では認証システムやソフトウェアなどを用いた「入退室管理システム」が一般的となっています。
入退室管理システムではクラウドを利用してデータを一元管理できるため、物理的な鍵とは異なり、管理が容易で、効率的な運用が可能です。
従来の物理的な鍵を用いた方法では、鍵の貸し借りが必要であり、誰がいつどこに入退室したかを把握するには、Excelや台帳を使って手動で記録する必要がありました。記録漏れやミスが発生しやすく、鍵の紛失や不正使用のリスクもありました。
入退室管理システムは、暗証番号や生体認証などを用いて入退室を管理できるため、これらの課題を解決できます。クラウド上で簡単に入室権限を付与したり、リアルタイムで入退室状況を監視したりすることも可能です。さらに、遠隔操作で離れた場所の扉を解錠・施錠することもできるため、柔軟な管理が実現します。
入退室管理システムを導入するには、物理鍵を利用する方法や、扉の鍵そのものを変更する方法まで、さまざまな手段があります。原状回復のしやすさや設置工事の料金などを踏まえて、導入方法を考えるとよいでしょう。
3.入退室管理システムを導入するメリットとは?
入退室管理システムを導入するメリットは、以下の5つです。
- ・情報漏えい防止
- ・警備コストを削減できる
- ・勤怠管理を効率化できる
- ・感染症対策になる
- ・災害時の対策になる
導入を悩んでいる人は、これから説明するメリットを踏まえたうえで、自社に必要かどうかを考えてみましょう。
情報漏えい防止
企業が厳重に管理しなければならないもののひとつに、従業員や顧客の個人情報があります。情報漏えいが発生した場合、刑事上の罰則や民事上の損害賠償に発展する可能性があるため、注意が必要です。
現代では、社用PC1台に多くの情報が保存されているため、適切な情報管理は企業にとって重要な義務です。入退室管理システムを導入すれば、外部からの侵入や内部不正を防止し、情報の安全を確保できます。安全性の高さは、顧客や従業員の信頼にもつながるでしょう。
警備コストを削減できる
多くの企業がセキュリティ対策として警備会社に依頼し、警備スタッフを配置しています。人の目で直接確認するのは不正防止に効果的ですが、多額の人件費が発生することは避けられません。
入退室管理システムではシステムが自動で通行者を確認するため、こうした人件費は不要です。長期的には、警備コストの削減が期待できるでしょう。
勤怠管理を効率化できる
勤怠管理は多くの企業にとっての課題ですが、不正を防ぐために、総務や労務がすべての勤怠を調査するのは大変でしょう。
入退室管理システムを利用すれば、出社・退社の時間を正確に記録できるため、勤怠管理を効率化できます。虚偽の打刻も防止できるので、照合の手間も軽減することが可能です。
従業員による毎日のタイムカード打刻や、社内システムへの数字入力も不要になるので、業務効率の改善にもつながります。
感染症対策になる
入退室管理システムを導入することで、オフィス内にいる人物の動きを把握できます。そのため、感染者が発生した場合でも、履歴から入退室した従業員を時間ごとに調べて、特定することが可能です。
感染経路の追跡が容易になり、感染拡大のリスクを低減できる点で、企業の感染症対策としても効果的なツールとなります。
災害時の対策になる
入退室管理システムは、災害時にも役立ちます。オフィスビル内で火災が発生した際、誰がどこに取り残されているのかを正確に把握するのは困難です。
しかし、入退室管理システムを導入しておけば、入退室記録からどの部屋に誰がいるのかを瞬時に確認できます。システムを活用することで、救助が必要な場所を速やかに特定して、効率的な救助活動が可能となるでしょう。
4. 入退室管理システムは主に2種類
入退室管理システムは、電力供給方法の違いによって、電気錠と電池錠の2種類に大きく分けられます。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
電気錠
電気錠は電力供給に配線を利用するため、設置の際には配線工事が必要です。工事費が発生することから、後述する電池錠に比べると設置費用が高価になりますが、急な電池切れの心配もありません。
また、設置にあたって工事が必要なことから、物理的な堅牢さに優れており、高い防犯性を誇ります。他システムとの連動など高性能かつ多機能な製品も多く、厳密な入退室管理や高水準のセキュリティレベルを求めるのであれば、電気錠がおすすめです。
電池錠
電池錠は電池によって電力を確保しているため、電気錠のような配線工事が不要で、その分設置費用が安価です。容易に設置・取り扱いがしやすいものも多く、両面テープなどでドアへ貼り付けて使用できる製品もあります。
手軽な入退室管理システムの導入方法として魅力のある電池錠ですが、その一方、物理的な堅牢性・防犯性では電気錠に譲ります。また、電池残量が少ない場合に通知する機能を備えたものもありますが、電池切れによる不測の事態が発生するリスクも抱えています。
5. 入退室管理システム種類・特徴
入退室管理システムには、主に以下の5種類があります。
- ・暗証番号(テンキー方式)認証
- ・非接触ICカード・交通系ICカード認証
- ・QRコード認証
- ・スマートフォン認証
- ・生体認証
ここからは、それぞれの特徴について解説します。どの種類が適しているのか選定する参考にしてください。
暗証番号(テンキー方式)認証
暗証番号を入力するテンキー方式は、シンプルな入退室管理システムです。入口に設置されたテンキーに暗証番号を入力するだけで入室が許可されます。
暗証番号方式は導入・運用コストが低く、手軽に導入できる点が魅力です。しかし、すべての利用者が同じ暗証番号を使用するため、個人の識別ができません。そのため、セキュリティレベルは低いといえるでしょう。
さらに、暗証番号を他人に見られるリスクがあり、見られた場合には部外者が不正に内部へ侵入する危険性があります。テンキー方式は導入のハードルが低い反面、セキュリティ面では注意が必要です。
非接触ICカード・交通系ICカード認証
ICカードを用いた認証方式は、専用のICカードまたはSuica・PASMOなど交通系ICカードをリーダーにかざすことで、入口が開錠されるシステムです。
専用の非接触ICカードにはICチップが埋め込まれており、個人の入退室記録を残せることから、セキュリティレベルが高いのが特徴です。
一方、交通系ICカードを利用した認証方式では、企業は専用のICカードを従業員に配布する必要がなく、従業員は普段使っている交通系ICカードをそのまま利用できるため利便性が高いです。
しかしこうしたICカード認証方式では、カードが紛失や盗難に遭った場合には、紛失したカードを無効化し、新しいカードを再発行するなどの対応が求められます。ICカード認証は、利便性と高いセキュリティを両立させたシステムですが、万が一の事態に備えた対策も重要です。
スマートフォン認証
スマートフォン認証は、専用アプリをスマートフォンにインストールしておくことで、リーダーにかざすだけで扉を施解錠できるシステムです。企業はICカードを従業員に配布する必要がなく、カードの紛失や盗難の心配も不要です。
スマートフォンは常に携帯しているため、利便性が高く、認証作業もスムーズに行えます。さらに、ICカードの発行や管理にかかるコストを削減できる点も大きなメリットです。
スマートフォン認証は、セキュリティを維持しつつ、コスト削減と利便性を両立させる優れたシステムといえるでしょう。
QRコード認証
QRコード認証は、事前に発行したQRコードをカメラ付き認証端末に読み取らせることで開錠するシステムです。QRコードは、社員証や入館証など紙媒体に印刷するほか、スマートフォンの画面に表示することも可能です。
利用者ごとに異なるQRコードを発行することで、個人の入退室記録を管理できるだけでなく、導入コストも比較的安価な点が強みです。紙媒体へ印字する方法では紛失・盗難時の不安面もありますが、スマートフォンでの共有であればそうしたリスクにもある程度対策できます。
生体認証
生体認証は、指紋認証や顔認証など、生態的な特徴を利用して個人を認証し、入退室を管理するシステムです。指紋や顔の特徴は一人ひとり異なるため、他人に成りすますことが非常に難しく、不正が起こりにくいのが魅力です。
さらに、カードやキーを持ち歩く必要がないため、紛失や盗難のリスクもありません。生体認証を導入することで、企業は安全かつ効率的な入退室管理を実現できます。
こうした生体認証システムは精度も向上しており、迅速かつ正確な認証が可能です。高いセキュリティレベルを求める施設や企業にとって、最適な認証方法となるでしょう。
6. 入退室管理システムの法定耐用年数は?
入退室管理システムの耐用年数については、国税庁が6年と定めています。そのため、6年間は経費として減価償却することが可能です。
実際の使用状況によっては、6年を超えてもシステムが正常に稼働することがあります。定期的に部品交換やメンテナンスを行うことで、10年以上稼働しているシステムも少なくありません。しかし、耐用年数を過ぎるとエラー発生のリスクが高まることもあるでしょう。
導入する際には、システムの耐用年数とメンテナンスの重要性を理解して、適切なタイミングで更新を計画することが大切です。そうすることで、常に高いセキュリティを維持し、システムの信頼性を確保できます。
システムの長期的な運用を考慮し、計画的なメンテナンスと定期的なチェックを怠らないようにしましょう。
7. 入退室管理システムを選ぶポイント
入退室管理システムを選ぶ際は、以下のポイントを考慮に入れましょう。
- ・使いやすさ
- ・侵入対策などセキュリティは強化できるか
- ・運営の効率化が期待できるか
- ・自社のニーズに合う解錠方法
- ・連携できる外部システムの種類
- ・設置できる扉の種類
- ・機器本体のデザイン性
- ・取り付け工事の有無
- ・自社の予算に合う価格
- ・サポート体制
それぞれのポイントについて解説します。
使いやすさ
入退室管理システムは、従業員全員が頻繁に使用するため、使いやすさが重要です。操作が複雑なシステムは、業務の効率を低下させる可能性があります。管理者にとっても、システムの運用や設定が容易であったほうがよいでしょう。
そのため、ネットワーク構築の有無や管理システムの操作性、アプリなどの管理ツールの使いやすさは、システム選定時の重要なポイントです。システムの導入前に、期間限定の無料体験やシミュレーションを利用して、使いやすさをチェックしておきましょう。
侵入対策などセキュリティは強化できるか
入退室管理システムでもとくに重要な機能は、外部からの侵入対策です。外部から自由に人が出入りできる状態では、個人情報や機密情報が不正に持ち出される危険があります。そのため、内部不正の防止も重要ですが、まずは外部からの侵入を防ぐ対策が必要です。
部署ごとの入室制限に加え、役職や特定個人の入室権限の設定、入退室履歴の確認、入室権限の付与・変更機能などがあれば、侵入者対策として十分に機能します。システムの選定にあたっては、これらのセキュリティ機能が充実しているか確認しましょう。
運営の効率化が期待できるか
入退室管理システムを導入する際には、運営業務が効率化できるかどうかも重要なポイントです。たとえば、リアルタイムで入退室履歴を確認できる機能や遠隔操作で権限を変更できる機能があれば、管理者の負担を軽減できるでしょう。
運営の効率化を図るためには、システムの導入前に、シミュレーションや無料体験を活用し、業務の効率化を期待できるかを確認することが重要です。効率的なシステムを選ぶことで、業務全体の生産性を向上できるでしょう。
自社のニーズに合う解錠方法
入退室管理システムを選ぶ際には、自社のニーズに合わせた解錠方法を選択することも大切です。たとえば、小規模な企業では数人しか出入りしないため、テンキー認証やスマートフォン認証が適しています。
一方、中規模から大規模の企業では、一度に多くの人が出入りすることが多いため、ICカード認証が便利です。さらにセキュリティを重視する場合は、指紋認証や顔認証などの生体認証がおすすめです。生体認証は高度なセキュリティを提供し、不正侵入を防止します。
このように、企業の規模やセキュリティのニーズに応じて、ふさわしい解錠方法を選ぶようにしましょう。
連携できる外部システムの種類
入退室管理システムには、勤怠管理システムや不正侵入時の通報システム・監視カメラ・火災報知器など、さまざまな外部システムと連携できるタイプがあります。これらのシステムと連携することでセキュリティ対策が強化され、運営の効率化が図れます。
たとえば勤怠管理システムと連携すれば、従業員の出退勤を自動で記録し、勤怠管理を効率化できます。また、監視カメラや火災報知器と連携することで、施設内の安全をさらに確保できます。
連携機能が豊富なシステムは高額になることがありますが、利便性が向上するためおすすめです。すでに勤怠管理システムや監視カメラを導入している場合は、スムーズに連携できるか必ず確認しましょう。
入退室管理システム「iDoors」についてご不明点があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。
設置できる扉の種類
オフィスや店舗のドアには、開き戸や引き戸、自動ドア、ガラス扉などさまざまな種類があります。そのため、採用している扉に適した取り付け方法を選ぶことが重要です。
入退室管理システムには、たとえば両面テープで簡単に取り付けられるタイプや、ドアや壁に穴を開けて設置する工事が必要なタイプがあります。
両面テープタイプは、取り外しが容易で原状回復が簡単ですが、扉の材質によっては使用中に落ちたり剥がれたりするリスクがあります。一方、工事が必要なタイプは、専門の作業員が設置するため、設置後の安定性が高く、簡単に落ちたり剥がれたりする心配がありません。
入退室管理システムの取り付け方法はサービスによって異なるため、自社の扉に適したシステムが導入可能かどうか事前に確認しましょう。
機器本体のデザイン性
店舗の外装にこだわりがある企業にとって、入退室管理システムの機器本体のデザイン性も重要な選定基準となるでしょう。システム機器の色や形状、素材感が店舗の雰囲気に合うかを確認することをおすすめします。
たとえばスタイリッシュでモダンなデザインの機器は、クリエイティブな業種のオフィスや、洗練された雰囲気の店舗に適しています。一方、シンプルで控えめなデザインは、一般企業のオフィスや落ち着いた雰囲気のクリニックなどに向いているでしょう。
デザイン性に優れた機器を選ぶことで、全体の統一感を保ちつつ、セキュリティシステムを導入できます。
取り付け工事の有無
入退室管理システムのなかには、取り付け工事が必要になるタイプもあります。高度なセキュリティ機能や多くの連携システムを備えたものは、設置工事が大掛かりになる傾向があります。
入退室の記録や勤怠管理のみを目的とする場合は、取り付けが簡単なシステムでも十分です。両面テープで取り付けられるタイプや簡易的なセットアップが可能なシステムなら、工事が不要で手軽に導入できます。
システム選定の際には、自社の現状と将来的な計画を考慮し、ふさわしい設置方法を選ぶことが重要です。簡易的なシステムを選ぶことで、移転やレイアウト変更時の手間やコストを抑えつつ、必要な機能を確保できます。
自社の予算に合う価格
入退室管理システムを選ぶ際には、自社の予算に合う価格かどうかを検討しましょう。システムの初期費用には、ハードウェアの購入費や設置工事費が含まれます。
月額・年額費用の考慮も大切です。システムの運用には、月々のサポート費用やライセンス料がかかります。長期的に見て維持費が負担にならないか考慮しましょう。
さらに、オフィス移転時・システム撤去時に発生する費用も視野に入れることをおすすめします。とくに賃貸物件の場合は、原状回復費用が高額になることがあります。
これらの要素を総合的に判断し、導入費用だけでなく維持費や将来的な費用も考慮したうえで、自社の予算に合ったシステムを選びましょう。
サポート体制
入退室管理システムに不具合や故障などのトラブルが発生すると、予定していた運用ができなくなり、管理者や従業員に支障をきたします。そのため、サポート体制の手厚さや内容の充実度もシステム選びのポイントです。
トラブル発生時の対応はもちろん、導入時や運用時にどの程度のサポートが受けられるかを確認しましょう。具体的には、以下の事項を確認することをおすすめします。
- ・問い合わせの方法
- ・サポートセンターの営業時間
- ・メンテナンスの頻度
- ・駆けつけサポートの有無
これらのサポート体制が整っている入退室管理システムを選ぶことで、システム運用がスムーズに行われ、万が一のトラブルにも素早く対応できます。
8. 入退室管理システムの価格相場
入退室管理システムの価格相場を導入にかかる初期費用と、ランニングコストに分けて解説します。自社の予算に合うものは何か考えながら、価格相場を確認してみてください。
導入にかかる初期費用
入退室管理システムを導入する際の初期費用は、認証方式や工事の有無、設置ドア数にもよっても大きく異なるため一概には言えませんが、相場としては10万円から100万円ほどが相場です。
どの認証方式を利用するにしても、端末やセンサー、リーダーが必要です。設置する部屋の数だけ機器を用意する必要があるため、その点も考慮しておきましょう。
加えて、オンプレミス型の場合はサーバー費用も考慮する必要があります。サーバー費用の相場は20~50万と幅があり、初期費用が高額になる可能性があるため、しっかりと見積もりを取ることが重要です。一方、クラウド型システムの場合はこうしたサーバー費用が含まれません。
また、利用する認証方法によっては、追加の工事費用やオプション費用が発生することがあります。
ランニングコスト
入退室管理システムのランニングコストには、サーバーの保守費用やサービスの月額利用料が含まれます。オンプレミス型とクラウド型によって、ランニングコストの内容が異なります。
オンプレミス型では、サーバーの保守費用が発生します。保守費用はサービスを提供する会社によって異なりますが、場合によっては数百万円を超えることもあります。
一方、クラウド型では、サービスを利用するための月額料金が発生します。料金は提供会社によって変わりますが、基本的にはシステム利用料とドア管理費用で構成されており、相場は数千円から数万円程度です。
自社の予算や運用体制に合わせて、適したシステムを選びましょう。
9. 【方式別】入退室管理システムにかかる費用相場
続いて、入退室管理システムにかかる費用相場を以下5つの方式別に解説します。
- ・暗証番号(テンキー方式)認証
- ・非接触ICカード・交通系ICカード認証
- ・スマートフォン認証
- ・QRコード認証
- ・生体認証
セキュリティレベルが高い方式ほど費用が高くなる傾向があります。自社が求めるセキュリティレベルを考慮して、ふさわしい入退室管理システムを選べるようにしましょう。
暗証番号(テンキー方式)
テンキー認証方式の入退室管理システムは、比較的コストを抑えられるのが特徴です。価格相場は、以下の表のとおりです。
端末費用 | 1台あたり数万~12万円 |
---|---|
コントローラー費用 | 20~40万円 |
月額利用料 | 数千~数万円 |
※クラウド型の場合
テンキー認証は、コストを抑えながら手軽に導入できる一方、設置場所やセキュリティ要件に応じて適切に選択することが求められます。
非接触ICカード認証
非接触ICカード・交通系ICカード認証の価格相場は、以下の表のとおりです。
端末費用 | 1台あたり5~10万円 |
---|---|
コントローラー費用 | 20~40万円 |
月額利用料 | 数千~数万円 |
※クラウド型の場合
こうしたICカード認証は、テンキー認証と同様に安価に導入できる傾向にあります。ただし、カードの紛失や新規発行時には追加のカード費用が発生することは理解しておきましょう。
また、自社で運用する場合はサーバーを導入する必要があります。サーバー代を含めた全体的な予算は、規模によって数十万円から100万円を超えることもあります。
スマートフォン認証
スマートフォンを利用して扉を解錠する方式の場合、非接触ICカード・交通系ICカード認証と近しい価格相場になります。
スマートフォン認証は、端末費用が比較的リーズナブルであることです。高くても10万円以下で収まるケースが多く、初期費用を抑えられます。
ただし、初期費用がかからない場合、その分月額サービス利用料が高めに設定されていることがあるため、事前に確認しましょう。
QRコード認証
QRコード方式の入退室管理システムは比較的安価で、価格相場は以下のとおりです。
端末費用 | 1台あたり4~10万円 |
---|---|
コントローラー費用 | 20~40万円 |
月額利用料 | 数千~数万円 |
※クラウド型の場合
こちらもICカード認証方式同様、QRコードの印字されたカードなどの発行費用が別途発生するケースがあります。
生体認証
生体認証方式の入退室管理システムは、高いセキュリティを実現できる分、導入コストも高い傾向があります。
端末費用 | 1台あたり10~70万円 |
---|---|
コントローラー費用 | 20~40万円 |
月額利用料 | 数千~数万円 |
※クラウド型の場合
かかるコストをしっかりと把握したうえで、予算に応じて適切なシステムを選びましょう。
10. 入退室管理システムの機能
入退室管理システムの主な機能は、以下の7つです。
- ・共連れ検出
- ・マルチ認証
- ・2名同時認証
- ・アクセスレベル設定
- ・タイムスケジュール設定
- ・動線管理
- ・オペレーション操作ログ
それぞれの機能について解説します。
共連れ検出
共連れ検出は、入室記録がない人物の退室を拒否する機能です。共連れには2つのケースがあり、ひとつは部外者が認証された人物に紛れて入室するケース、もうひとつは内部の従業員が故意に部外者を引き入れるケースです。
共連れ検出機能は、このような不正行為を防ぐために設けられています。監視カメラを併用することで、映像から共連れを検出し、リアルタイムで警告を発することが可能です。
共連れが発生した場合、その人物は退室できず、入室した記録がないことから警備や管理者に通知が送られます。共連れ検出機能は、高度なセキュリティが求められる施設や企業にとって有効です。
マルチ認証
マルチ認証は、複数の認証方法を組み合わせて使用する機能です。個人情報や機密情報が保管されている部屋など、高いセキュリティが求められる場所でとくに有効です。
たとえば、ICカードと生体認証を組み合わせることで、偽造やなりすましの防止が可能になり、セキュリティを強化できます。
また、入室時と退室時に異なる認証方法を設定することも可能です。入室時にはICカードと指紋認証の二重認証を採用し、退室時には顔認証を利用するといった具合です。
このように、認証方法を複数取り入れることで、より厳重なセキュリティ対策が実現します。
2名同時認証
2名同時認証は、2名が同時に認証を受けなければ入室できない機能です。部屋に必ず2名以上が入室する状況が確保されるため、部外者の侵入を防ぐだけでなく、内部での不正行為に対する対策としても役立ちます。
重要なデータが保管されている部屋や、デリケートな情報を扱う部署での利用が適しているでしょう。2名同時認証を導入することで、従業員の行動を適切に監視し、未然に不正行為を防止できます。
アクセスレベル設定
アクセスレベル設定は、入退室する人物のアクセス権を細かく設定できる機能です。たとえば、特定の部署や役職に属する人物のみを入退室者として設定すると、その属性に該当しない人物は入室できなくなります。そのため、個人情報や持ち出し禁止の資料が保管されている部屋で有効です。
アクセスレベル設定を利用して、管理職のみが出入りできるように設定しておけば、重要な情報の保護が一層強化されます。また、機密性の高いエリアや、特定のプロジェクトチームが使用する部屋など、入室者を限定したい場合にも便利です。
アクセスレベル設定を取り入れると、組織内の情報流出リスクを減らせるでしょう。
タイムスケジュール設定
タイムスケジュール設定は、時間帯に応じて認証の有無を設定できる機能です。タイムスケジュール設定は、利用者の人数や活動時間に変動がある場合に役立ちます。
たとえば、日中は多くの従業員が出入りするため認証を省略し、利用者が少ない夜間にのみ認証システムを作動させることで、夜間のセキュリティを強化できます。
また、特定の曜日に入退室者を制限したい場合にも、タイムスケジュール設定が便利です。週末や祝日にセキュリティを強化するために、認証システムを常時作動させるように設定できます。
このように、時間帯や曜日に応じて認証の有無を柔軟に切り替えることで、効率的なセキュリティ管理が実現します。
動線管理
動線管理は、入室までのルートを設定できる機能です。正しいルートを通らなければ入室できないため、部外者の侵入対策として効果的です。
また、動線管理は複数の入口から入室できる部屋のセキュリティ対策としても役立ちます。たとえば、建物内に出入りする特定の業者の動線をあらかじめ設定しておけば、業者になりすました部外者が不正に侵入するのを防げます。
このように動線管理は、建物や部屋のセキュリティを高めるための重要な機能です。
オペレーション操作ログ
オペレーション操作ログは、管理システムソフトを利用して入退室者の操作ログを記録する機能です。誰が・いつ・どこで入退室したかを確認でき、不審な入退室があった際には、不審者の特定や行動を簡単に把握できます。
また、オペレーション操作ログは、従業員の勤務状況を把握するためにも有用です。常に正確な入退室の記録が確認できるため、勤怠管理の効率化にもつながります。出勤や退勤の時間を自動的に記録し、手動での入力ミスや不正を防ぐことが可能です。
さらに、オペレーション操作ログはトラブル発生時にも役立ちます。万が一セキュリティ問題が発生した場合でも、詳細な記録が残っているため、すぐに的確な対応が可能です。
こちらの記事では、入退室管理システムの実際の活用例やよくある疑問にお答えしています。あわせてご覧ください。
11. 入退室管理システムを導入する際に行うこと
入退室管理システムを導入する際は、以下のアクションを行いましょう。
- ・社員の教育
- ・運用ルールの変更
- ・来客時やセキュリティカード紛失時の対応も検討する
とくにセキュリティカードを紛失した際の対応が曖昧な場合、後に大きなトラブルを招く可能性があるため、事前に決めておきましょう。
社員の教育
入退室管理システムを導入する際には、社員への教育が不可欠です。とくに勤怠管理システムと連携させる場合、移行がスムーズに行われるよう、現行の勤怠管理方法からどのように変わるのか事前に説明する必要があります。
また、単に「運用コストが低い」「導入に工事が不要」といった企業側のメリットだけでなく、従業員がどれだけ働きやすくなるかという視点で教育を行うことが重要です。
たとえば、営業職の社員は外回りから戻る際、資料や商品サンプルで両手がふさがっているケースも少なくありません。こうした状況ではタッチレス認証システムが適している、といった具体例を挙げると、社員も新システムの利便性・必要性を理解しやすくなるでしょう。
従業員がより働きやすくなる視点を意識することで、社員からの賛同を得やすくなるはずです。
運用ルールの変更
入退室管理システムを導入する際には、セキュリティレベルや入室制限に応じた運用ルールの変更が必要です。具体的には、どのエリアにどの程度のセキュリティレベルを設定するのか、誰に入室を許可するのかを明確に決める必要があります。
たとえば、重要な書類などを管理する部屋に入退室管理システムを導入する場合は、管理職だけが入れるように設定するのか、あるいは管理職が許可を与えた人も入れるようにするのかなどです。
許可のない従業員が誤って入室し、トラブルが起きないよう、誰が入れるのかなど運用ルールを事前に決定することが重要です。
来客時やセキュリティカード紛失時の対応も検討する
入退室管理システムを導入する際には、来客時や、セキュリティカード忘れ・紛失に対する対応策も事前に検討する必要があります。来客時には、誰がいつ入室したかを管理するために、管理表に記載することが重要です。
セキュリティカードを忘れた場合も同様に、忘れた事実を管理表に記載し、いつ入室し退室したかを記録する必要があります。監視カメラを併用することで、手書きの管理だけでなく、記録の信憑性を高められます。
また、セキュリティカードを紛失した場合には、すぐに利用停止の手続きを行わなければなりません。不正利用を防ぐため、紛失が判明したら速やかに管理者に報告するルールを設け、素早く対処できる体制を整えておくことが重要です。
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12. まとめ
入退室管理システムは、セキュリティの強化や業務の効率化に役立ちます。情報漏えいの防止はもちろん、警備コストの削減や勤怠管理の効率化、感染症対策、災害時の対策など、多くのメリットがあります。
入退室管理システムは電気錠と電池錠の2種類に分けられ、物理的な堅牢さや外部システムとの連動に優れた電気錠と、手軽な設置と初期費用の安価さが強みの電池錠があります。とくに、高いセキュリティを求めるのであれば電気錠がおすすめです。
認証方式の違いでは、暗証番号のほかにICカードやスマートフォン、QRコードを使ったもの、生体認証などがあります。導入時は、以下のポイントを比較・検討しましょう。
- ・システムの使いやすさ
- ・セキュリティ
- ・運営の効率化
- ・自社のニーズ
- ・外部システムとの連携
- ・設置可能な扉の種類
- ・デザイン性
- ・取り付け工事
- ・予算
- ・サポート体制
安全性の高い入退室管理システムをお探しなら、堅牢さに優れた電気錠タイプのiDoorsをぜひご活用ください。入退室管理システムに関するお悩みを丁寧にヒアリングし、最適なシステムをご提案します。
費用と耐用年数、他社製品との比較など、何でもお気軽にご相談ください。ZOOMやお電話でのご相談も可能です。
※「QRコード」は(株)デンソーウェーブの登録商標です。